2022/10/15 20:25
画家を夢見た十代、現代美術で活動した二十代。
三十代で素材を土に求め陶芸の修行に出たあと生まれ故郷の秩父に窯を開きました。
里山の野仏や、辻にひっそりと立つほこらに出会う時……
夜行列車の車窓から家々の明かりが流れるのを見る時……
なんとも言えない気持ちになります。
連綿と続く人々の暮らしや祈り。
過ぎ去る時間と、古いものの美しさ。
懐かしく、切なく、侘しく、寂しく、悲しく……たまらなく愛おしい。
そのような心情を形にしたくて、四十過ぎからほこらや家を作りはじめました。
やがてその中に小さな電球を入れるようになりました。
ありがたいことに、これが少しずつ売れるようになりました。
「1000個作ったらひとつの境地を築ける」そんな気がしたことを今でもはっきり覚えています。
天命として一生向き合うことに決めました。
これをきっかけに、80個めから作品に制作番号を刻むようになりました。
だから1番から79番までは欠番です。
六十を迎えた今、900を過ぎたところです。
*画像はK氏が所蔵する初期の作品。制作番号なし、明かりの家の原点です。(横幅11cm 奥行8cm 高さ11.5cm)